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  • 執筆者の写真田村 一也

外国人留学生の卒業後進路選択

更新日:2022年11月9日

文部科学省は、かつて日本で就職したい留学生が約65%いるのに対して、

実際に就職できているのが約35%しかいないという実態に危機感を持ち、

2016年の「日本再興戦略」において、留学生の就職率を50%に引き上げることを目標に掲げた。


そして、2017年より「留学生就職促進プログラム」を全国12の大学で実施、

後に、3大学を加え、15の大学で就職率向上に努めた。


では、実際のところ、外国人留学生の卒業後進路についてみてみよう。

このデータは、2020年度中(2020年4月1日から2021年3月31日まで)に卒業(修了)した外国人留学生を対象にした調査である。同年度は、コロナ感染者拡大によって、外国人向け新卒求人が大幅に減少した年であることは注意が必要だ。事実、株式会社ディスコ「外国人留学生の就職活動状況」の資料によると、7月時点の内定率は前年比で9.1ポイント下がっており、特に文系留学生は11.5ポイントも下がっていた。


2020年度外国人留学生進路状況調査結果

まず、【大学(学部)】の留学生は、67.6%が卒業後も日本国内に残っている。

就職をしたのは32.4%、進学したのは17.9%であった。

【修士課程】においては、59.1%が卒業後も日本国内に残り、就職をしたのが25.0%、進学したのは18.4%となっている。

もう少し詳細な区分で、学部別に就職状況をみてみよう。



2020年度専攻区分別進路状況調査結果(大学学部)

これは、学部卒業者の進路データである。

文系学部と理系学部に注目すると、意外にも理系学部の方が就職率が低いように見受けられる。この背景としては、理系学部の留学生の多くが進学を希望しているためであろう。実際、日本国内における進学率は【理学】62.6%【工学】37.2%【農学】54.7%で、【全体平均】17.9%より大幅に高い数値となっている。


2020年度専攻区分別進路状況調査結果(大学院)

では、大学院卒業者の進路データは、どうだろうか。大学院には、修士と博士が混ざっていることは留意しておきたい。

日本国内で就職した割合は【工学】32.3%と、【全体平均】25.4%より高い値になっている。そもそも日本国内に残るのか?日本国外に行くのか?という観点でみると、【工学】に限っては62.0%が国内に残っている。【全体平均】55.6%という数値からも、日本国内に就職したい留学生の割合は多いのではないかと推察される。


日本国外に行ってしまった留学生においても、本当は日本に残りたかったという思いを持つ外国人は少なくないと思われる。

では、就職できたかどうか何によって左右されるのだろうか?

答えは、「日本語力」が最も大きい要因ではないかと思われる。もちろん、専攻している研究分野と、それにマッチする求人の数によって、マッチング率は影響を受けるが、総合職で採用を行う日本企業においては、外国人留学生に対して最も求める要素は日本語である。

事実、株式会社ディスコが毎年発表しているレポートを見る限り、常に「日本語」及び「コミュニケーション能力」が上位を占めている。

外国人留学生に求める資質

では、日本語力が高い留学生は、日本にどれほどいるのだろうか?



2020年7月調査_外国人留学生内定率


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