「N1レベルの外国人を採用したい」
これは多くの日本企業が求人募集で外国人を採用する際に求める要件である。
なお、”N1”とは、「JLPT N1」の略で、”JLPT”は「日本語能力試験」のことである。
「日本語能力試験」は、公益財団法人日本国際教育支援協会と独立行政法人国際交流基金が主催の、日本語を母語としない人の日本語能力を認定する語学検定試験で、国内外で実施されている。
では、N1レベルの外国人留学生は、日本にどれくらいいるのだろうか?
厳密なデータがないため、正確にはわかりません。
ただ、いくつかの推測するための材料はあります。
・日本国内の大学進学(日本語で授業を受ける課程)で求められる日本語レベルはN2であることが多い。
・漢字圏有利な試験でもあるため、中華系出身の留学生はN1取得者が多く、N2以上のレベルであることが多い。また、韓国は日本語の文法と構造が似ているらしく、さらに小さい頃から日本語を勉強している人が多いようで、非漢字圏の中ではN1取得者が多い国です。
また、文系と理系を比較すると、やはり文系の留学生の方がN1取得者は多いように見受けます。
理系の場合、英語で単位取得ができる大学院から留学される外国人も多く、日本語がほぼ話せない状態で、大学の修士号や博士号を取得することができます。
なお、文理比率は、ざっくり「文系」:「理系」=8:2という感じでしょうか。
つまり、理系でN1取得者は非常に少なく、貴重な人材であることがわかります。
さらに、留学生数を考えると、中国出身以外で理系N1留学生がレアキャラなことがわかります。
私の感覚的なところもありますが、N1取得者で新卒就職活動を行う留学生は毎年次のような人数になると推測します。
【大卒以上/文系/N1】
(大卒文系)11,601(大学院卒文系)10,427=22,028×就職希望65%×N1取得者60%≒8,591名
【大卒以上/理系/N1】
(大卒理系)2,549(大学院卒理系)7,954=10,503×就職希望65%×N1取得者20%≒1,365名
あくまで、感覚値です。。。
文系の場合、最近はベトナム出身者が増えており、非漢字圏になるとN1取得者は減少する傾向にあります。また、前述した通り、大学院では英語で勉強されている留学生もいます。これらを考慮して、N1取得者は、半分よりもちょっと多いくらいの感覚です。ちなみに、N2以上であれば、90%くらいの感覚です。
理系の場合、日本語が話せる方でもN2取得者が大半を占めるイメージです。
日本語が話せても取得するのが面倒で、試験を受けていない方も、そこそこいる印象です。。。そのようなこともあり、理系でN1取得されている方は、あまり見かけません。N2以上であっても50%くらいでしょうか。やはり大学院で英語で勉強されている留学生の比率は高いため、N1取得者は少なくなるでしょう。
ただし、日本語能力試験を受験していない留学生もいます。
日本での滞在期間が長くなれば、日常会話程度はできる留学生はいます。新卒採用の選考において、履歴書にJLPT N1取得の記載がないと、不合格にされている日本企業は多数あるように感じますが、N2レベルでも採用の検討が可能であれば、実際に話してみることをお勧めします。
対外的な顧客折衝がないポジションであれば、一緒に仕事をするメンバーがちょっとしたフォローをすることで、問題なく仕事はできるように思います。“やさしい日本語”が重要だったりするのですが、また別の機会に触れたいと思います。
さて、留学生の日本語力の文脈で、今回「日本語能力試験」について触れてみましたが、実は海外で受験する外国人は日本国内と同等数いることはご存知でしょうか?
さらに、合格率は海外の方が実は高かったり・・・
次回は、海外で日本語を学ぶ外国人について、考えていきたいと思います。
次の記事「海外で日本語を学ぶ外国人の日本語力」
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