• 田村 一也

「月刊総務7月号」インタビュー記事補足〜5.30告示 特定活動ビザ〜

最終更新: 11月9日


先日発売された「月刊総務7月号」のインタビューを受けたとき、2019年5月30日に告示された”特定活動ビザ”について、告示されることは知っていたが、詳細について触れることはできなかった。それは入稿までに間に合わず、推測だけで申し上げることは避けたいと考えたためである。タイムリーに編集できないところが、雑誌記事の制約であり、ここで補足をしたい。


まず、本法改正であるが、元を辿ると2016年に政府が発表した「日本再興戦略 2016」に明記されていることから始まっている。P207に「外国人留学生、海外学生の本邦企業への就職支援強化」がある。そして、具体的な目標として、「外国人留学生の日本国内での就職率を現状の3割から5割に向上させることを目指し…」と記載されている。その後、文部科学省では「留学生就職促進プログラム」が始まり、全国12の大学コンソーシアムで、それぞれ留学生の就職率向上を目指して、様々な取り組みがされている。


このような取り組みの一方で、就労ビザの発給要件について、改定が必要であった。具体的には、既存の就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」では許可を得ることができない仕事に就けるようにするためである。「技術・人文知識・国際業務」では、高等教育機関で学ぶ専門性と就職先で求められる知識やスキル等の合致が求められた。さらに、その業務は高度な業務がメインであり、技能系の業務は除かれていた。具体的な事例については、法務省のホームページにある資料を参考にしていただきたい。【「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について


しかし、上記対象以外でも外国人材が必要となるケースが増えてきているのが実情である。例えば、飲食店を初めとしたサービス業でアルバイトをしている外国人留学生は、現在30万人程度まで増えている。お客様についても、インバウンド戦略により外国人観光客は年々増加、外国人材は単なる働き手の不足を補う人材ではなく、貴重な人的資源になりつつある。他にも、技能実習生として、工場のラインや介護の現場に外国人材が増えている。このような事実は、ニュースで見聞きされることも少なくないのではないだろうか。参考までに、在日外国人の状況が分かるように、国籍別のビザ数について確認できるサイトを共有したい。【在留外国人統計


このように、従来の「技術・人文知識・国際業務」ではサポートできない業務を可能にしたのが、今回新たにできた特定活動ビザである。また、前述したこと以外にも、サービス業の多くは、入社後現場業務を覚え、学ぶところから始まるのが日本企業の通例である。しかし、それによって「技術・人文知識・国際業務」のビザが取り難かったところもある。そのような障害をクリアするためにも、今回の特定活動ビザは、大きな影響がある。なお、「特定活動ビザ」自体は、今回取り上げる内容以外にも様々なものがある。全て触れると長くなるので、参考までに、法務省のページを案内したい。【在留資格「特定活動」


前置きが長くなったが、今回新たに施行された特定活動ビザの具体的な内容について見ていきたい。こちらについては、法務省のサイトにあるガイドラインを参照していただきたい。【留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン】内容について、下記に要点をまとめます。


■対象者の要件:

下記(1)(2)のいずれも該当する者。

(1)学歴

 (A)日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了者

(2)日本語能力について

 (A)日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者

 (B)大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した者については、(A)を満たすものとする。


■活動例(業務イメージ):

(A)飲食店に採用され、店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)。※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。


(B)工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインに入って業務を行うもの。※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。


(C)小売店において、仕入れや商品企画等と併せ、通訳を兼ねた外国人客に対する接客販売業務を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客販売業務を行うことを含む。)。※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。


(D)ホテルや旅館において、翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業を行うものや、外国人客への通訳(案内)、他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの(それに併せて、日本人に対する接客を行うことを含む。)。※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。


(E)タクシー会社に採用され、観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ、自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの(それに併せて、通常のタクシードライバーとして乗務することを含む。)。※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。


(F)介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り、介護業務に従事するもの。※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。


また、ガイドラインにて、「契約形態」についても確認していただきたいですが、今回のビザでは、受け入れ機関での就労が前提であり、派遣会社からの派遣社員として、派遣先で業務を行うことは想定されていません。


以上が、簡単ですが、今回新たに告示された特定活動ビザに関する内容です。

では、これを企業がいかに活用するのか、留学生がいかに活用するのか、教育機関がいかにサポートするのかについては、まだまだ探りながらの状態だと思います。あくまで私の主観的イメージですが、”特定活動”と名付けられている通り、恒久的に本ビザで就労することは期待されていないのではないかと感じます。やはり日本で働く外国人材の皆さんには、レベルアップしていってほしいですし、雇用する企業の皆さんには、活躍できる機会を作っていただきたいと考えています。それゆえ、従来からある「技術・人文知識・国際業務」で求められるような、より高度な仕事にチャレンジしてほしいですし、それができる仕組みを日本としては作っていく必要があると考えます。


今回触れませんでしたが、今年2019年4月より施行された特定技能ビザについても、少しずつ合格者が出てきており、多様なビザによって外国人材の雇用が複雑化しつつありますが、就労者も雇用者も上手く活用して、適切に仕事ができる環境が構築されることを、私個人としては強く願っています。



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