コロナ禍での入国制限によって、一時的に留学生の入国者数は減少したが、待機中の外国人は多く、今後再び留学生は増えていく可能性は高い。
では、そのような外国人は、なぜ日本に留学するのだろうか?
なお、ここでは労働目的の留学生については除外して、日本留学のきっかけや目的を申し上げたい。
私が留学生から聞く限り、日本留学のきっかけは9割が日本文化、特にアニメや漫画だと言っていいと感じる。それほど、日本のアニメの影響力は世界に対して大きい。
過去には、ドラえもんが作れると思って日本に留学をした外国人。スラムダンクに憧れて、わざわざバスケットボールをしにきたポルトガル人などに出会ったこともある。
かつて(1981年)、マレーシアで当時のマハティール首相が提唱した「ルックイースト政策」では、高度成長した日本を学ぶべく、留学政策が取られていた。そう、以前は、ものづくりの技術を学ぶべく日本留学をする外国人も少なくなかったように思う。特に東南アジアでは、日本の電機メーカーや輸送機器が普及していたことで、品質の良い、燃費が良い製品をいかにして作るのか、学びたいと考える外国人は少なくなかったように思える。
しかしながら、現在は海外で日本製品を見かける機会は減り、代わってインターネットを通じて海賊版も普及しているアニメや漫画が、日本のイメージとなっている。留学生の多くは、アニメや漫画の世界で見た日本文化に興味を持ち、実際に体験したいと考え、日本に留学するのである。
特に、わざわざ世界でも習得難易度が高い日本語を学び、非漢字圏から来日する外国人は、
日本のアニメや文化のファンであることが多い傾向がある。これ自体は、悪いことではないが、日本において問題となっている理系人材の不足を解消する人材誘致には繋がりにくい点で、日本としては戦略的に留学生をリクルーティングしていく必要があるように思う。
そして、来日した留学生は、日本語が話せるようになると、主に次のような理由から日本で生活し続けたいと思うようになる。
(1)食べ物が美味しい
(2)治安が良い
(3)交通のアクセスが良い
(4)自然が綺麗
(5)人が優しい
日本人にとっては、当たり前のことであっても、外国人の方からすると、魅力的に感じる要素は多い。特に、学生としての留学生は、同郷が多い東京を好む傾向は強い。
しかし一方で、地方の人と触れ合い、方言を習得し、地元の祭りに参加して、居心地の良さを感じている外国人もいる。
労働力として外国人を受け入れるにあたり、地方の魅力を伝えていくことは、今後の日本の地方経済の発展と都市機能の維持において、重要なことのように思う。
「日本にいる外国人労働者について」の記事で、日本で生活をする外国人が約280万人いることを書いたが、海外含め日本語を学ぶ外国人は、どれほどいるのだろうか?
次の記事「世界中にいる日本語学習者(外国人)」
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